第33話|怒りについて ~山上の垂訓③

小説

第四章 西暦三十一年

第一節 春

第四項 山上の垂訓

3.怒りについて

イエスの話は続く

「あなたがたは、昔の人々にこう言われたことを聞いています。
『殺人をしてはならない。』そして、『だれでも人を殺す者は、裁きを受けることになる。』と、
しかし、わたしはあなたがたに言います。
自分の兄弟(姉妹)に対して怒るすべての人は、裁きを受けることになります。

また、自分の兄弟(姉妹)に、『ラカ(からっぽな者、能なし)』と言う者は、サンヘドリン(最高法院)で裁きを受けることになります。
さらに、『モーレ(愚か者)』と言う者は、火のゲヘナ〈γέεννα〉に至ることになります。

それで、あなたが供え物を祭壇にささげようとしていて、そこで兄弟(姉妹)があなたに対して何かわだかまりを抱いていることを思い出したなら、
あなたの供え物をその祭壇の前に置いたままにして、行きなさい。
まずあなたの兄弟(姉妹)と和解しなさい。それから来て、あなたの供え物をささげなさい。」

人々は耳を疑った。
神殿での礼拝よりも、傷ついた兄弟との関係を先に正すことが、神の前でそれほど大切なことなのか。

この時代、季節ごとの祭りの際、エルサレム神殿には各地から来た巡礼者が集まり、祭壇には絶えず犠牲が捧げられていた。
傷のない動物を携え、神に犠牲として捧げる。これは律法で命じられた非常に重要な務めであり、当然神に喜ばれるために必要な正しい行いである。

しかし、今、イエスは驚くべきことを語られている。
「供え物を祭壇に置いたまま、まず兄弟と和解しなさい」と。
それは、今まで自分たちが理解していた「義」認識と違っていた。
さらに深い義を求める言葉であると人々は感じ始めていた。
これこそが、律法を守ることこそを重んじるパリサイ人たちの義よりも「まさった義」ということなのか・・・!

人々は、ますますイエスの言葉に聞き入った。
イエスの話は続く

「あなたを訴えている相手とは、彼と一緒に道を歩いている間に、早く和解するようにしなさい。
そうでないと、その相手はあなたを裁判官へ引き渡し、裁判官は下役へ引き渡し、あなたは牢獄へ投げ込まれることになります。
まことに、わたしはあなたに言います。あなたは、最後の1コドランテス〈κοδράντης〉を払い終えるまでは、決してそこから出ることはありません。」

挿絵・ビジュアル制作には、ChatGPT および Google Gemini を使用しています。

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